2009年10月18日

アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団

http://www.jp.playstation.com/scej/title/uncharted2/

09101801.jpg

 前作では素晴らしいグラフィックを見せてくれましたが、今作でも期待通り様々な情景を楽しませてくれました。

09101802.png

 なかでも驚異的だったのが、この村です。

09101803.png

 大自然に囲まれていて、とても気持ちのイイです。

09101804.png

 ボールで遊ぶ子どもたちの笑い声やヤクの鳴き声、どこかで大工をしている音などの環境音が、BGMなしで、とても自然な感じで聞こえます。リアルなグラフィックと相まって、その場の気温すら感じられそうなほどです。
 音響の重要性を感じます。

09101805.png

 遠くに見える山は、大気のレイリー散乱による青掛かりが表現され、距離感を感じます。
 日向、日陰が高コントラストで、屋外の暖かな陽を受けている感じが出ています。
 その暖かな陽が地面で照り返り、建物の中を照らしています。

09101806.png

 陽の照り返りによる大局照明感は、この鶏を見てもよく分かります

09101807.png

 こちらは照り返りのほか、立て掛けられている木材にアンビエントオクルージョン表現が施されていることが分かります。カメラを動かすと、低解像度独特のチラツキが若干見られることからSSAO(Screen Space Ambient Occlusion)での実装と思われます。

09101808.png

 テクスチャの緻密さも尋常ではなく、建物のリアリティを相当に高めています。
 そして人物もとてもリアル。村の人たちはプレイヤーキャラのネイトに興味を示し、近くを通るとこちらを向いて声を掛けてくれたりします。ネイトも(言葉が通じないものの)それに自然に対応します。昔ながらの「話す」ボタンを押す処理などは一切なしです。この自然感がたまりません。
 こういう自然さの演出はグラフィックなどの見た目と並んで、ゲームの進化を感じさせてくれます。

09101809.png

 逆光気味の陰影もイイ感じです。
 空も鮮やかでキレイ。本作は全体的にカメラなどで施される、記憶色を考慮した色彩表現が見られ、とても鮮やかな見た目となっています。

09101810.png

 髪の毛もリアル。
 銃の柄の作り込みもかなりのもの。

09101811.png09101812.png

 雨もすごいです。
 雨粒が地面に落ちて散る様子や、雨水が壁面や階段で流れ落ちていく様子が表現されています。

09101813.png

 雨粒が作り出す複雑な波紋を法線アニメーションで表現。

09101814.png

09101815.png09101816.png

 今作は列車のシーンもあります。
 景色がキレイで楽しいです。

09101817.png

 影は定番の深度シャドウマップ技法で表現。

09101818.png

 影の周辺がボヤけていることから、PCF(Percentage Closer Filter)やVSM(Variance Shadow Mapping)を使っていると思われます。
 輪郭に若干ディザっぽさが見られますが、これがエイリアジングをさらに抑えてそうです。ディザ自体は前作と比べて控えめですが、その分、上記のソフトシャドウ表現との融合で効果を高めているのかもしれません。

09101819.png

 光源からのベクトルが掠める部分で起こる毛羽立ちも、ソフトシャドウ効果である程度緩和されています。

 前作からさらにパワーアップしたグラフィックス。それに大きく貢献したのは、Cellプロセッサだったようです。
 ムービーで収録されている開発者の話によると、今回は前作よりさらにCellの力を引き出し、ほぼ100%の能力を使ったそうです。アセンブラもたくさん使ったとのこと(ひぇ〜)
 興味深かったのは、グラフィックのポストプロセッシング(被写界深度表現などの各種ブラー処理など)をRSXではなく、Cellにやらせていることです。
 ゲームをやっているときは、G70相当のGPUでここまでの絵が出せるのか、と信じられない気持ちでしたが、Cellの力を借りることでRSXはその他、頂点やラスタライズの処理に専念できる、という方針を聞いて納得でした。
 (そういえばそんな話がゼンジーさんの記事であったのを思い出しました(汗))

 そして、その演算リソースの土壌をフルに活かして表現される絵を作ったアーティストの仕事の質の高さも讃えられるものです。
 今作も壮大な構造物や造型、尋常でない描き込みのテクスチャによるリアルな質感など、たっぷりと楽しませてもらいました。

 ゲーム内容もおもしろくて、ミステリアスな展開にワクワクしましたし、当初は少しずつゲームを進めていくつもりだったのが、先が気になってしょうがなくなり、夜遅くまでひたすらプレイしてしまいました。

 技術的にもゲーム的にも、期待以上の楽しみを提供してくれた本作ですが、特に冒頭で紹介した村のシーンは驚愕に値しました。
 実は、2、3年前にこんな夢を見たことがありました。
 ドラクエなどで出てくるような定番の村の中に一人称視点で歩いていて、家や仕事をする人たちの様子のあまりのリアルさと、それらを照らす夕陽の光とそれによる印象的な陰影のあまりの美しさに息を呑みました。
 この夢から醒めた後、このレベルの体験をゲームでできる日が来れば、どれだけ素晴らしいだろう、としばらく余韻に浸っていました。
 本作の村のシーンは、夕陽ではないものの、あの夢のレベルに等しいクオリティを実現していました。本当にその場に居て観光しているようでした。
 早くも夢が現実となり、驚きと興奮でいっぱいです。
 「ヤバい、これはマジでヤバい・・・」と何度もつぶやいてしまいました(笑)

 ここで紹介した以外にも、氷雪のシーンや、物語上重要となるある場所など、心奪われる絶景を楽しめます。

 人類の、自然を理解、表現しようとする欲求はどこまでいくのでしょうか。

 これからも3Dグラフィックスの進化に期待です。
posted by こうじ at 00:00 | ゲーム